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選択の瞬間、自我はおのれ自身を選ぶ──あるいはむしろ、おのれ自身に委ねられるがままにするのである。
その時、個性は、いつまでもおのれを高貴にしてくれる儀式を受けるのである。
(要約)

[ 出典 ]
キルケゴール
[セーレン・キルケゴール]
(19世紀デンマークの哲学者、宗教思想家、1813〜1855)
『あれかこれか』

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〈全文〉
偉大な人と対面した経験があるということに最高の価値をおく人が、なんとたくさんいることだろう。
彼らはその時の印象を決して忘れない。
彼らの眼前に漂い続けるその理想像が、彼らの全存在を高貴にするのである。
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しかし、そのような重大な瞬間も、選択の瞬間に比べれば、なんと無意味なことか。
人間を取り巻くもの全てが静まり返り、星明かりの夜のようにおごそかになってしまったら、そして魂が、世界を忘れ、ただ一人自分自身と共にあるだけになってしまったら、そこに歩み寄るのは、一人の秀でた人間ではなく、永遠の力そのものであり、頭上には天が開かれ、自我はおのれ自身を選ぶ──あるいはむしろ、おのれ自身に委ねられるがままにするのである。
その時、魂は、限りある眼(まなこ)では見ることができない至高のもの、二度と再び忘れることのできない至高のものを見たのであり、個性は、いつまでもおのれを高貴にしてくれる儀式を受けるのである。
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