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目前の事実に対して、あまりにも的確の描写は、読むものにとっては、かえって、いやなものであります。

[ 出典 ]
太宰治[だざい・おさむ]
(明治〜昭和の作家、1909〜1948)
『女の決闘』

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〈全文〉
少しでも小説を読み馴れている人ならば、すでに、ここまで読んだだけでこの小説の描写の、どこかしら異様なものに、気づいたことと思います。
一口で言えば、「冷淡さ」であります。
失敬なくらいの、「そっけなさ」であります。
何に対して失敬なのであるか、と言えば、それは、「目前の事実」に対してであります。
目前の事実に対して、あまりにも的確の描写は、読むものにとっては、かえって、いやなものであります。
殺人、あるいはもっとけがらわしい犯罪が起り、其の現場の見取図が新聞に出ることがありますけれど、奥の六畳間のまんなかに、その殺された婦人の形が、てるてる坊主の姿で小さく描かれて在ることがあります。
ご存じでしょう?
あれは、実にいやなものであります。
やめてもらいたい、と言いたくなるほどであります。
あのような赤裸々が、この小説の描写の、どこかに感じられませんか。
この小説の描写は、はッと思うくらいに的確であります。


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